記事紹介「災害復興」

 私は今年(2011年)3月に米国ニューオーリンズに行ったときに、2005年にあったハリケーンカトリーナ災害後の当地の状況について「地域によっては復興していないところもある」と書きました(→2011年3月24日の日記)。その地域の一つとしてLower Ninth Ward(ローワーナインス区、ニューオーリンズ市東部)のことが、朝日新聞の特集GLOBEの2011年8月7日号に掲載されていましたので紹介します。
 日本国内の現状を理解する上でも、大いに参考になる特集です。

『災害復興』
 (朝日新聞 GLOBE No.68、2011年8月7日)


 この特集では、近年の自然災害のうち下の5つを取り上げ、復興の取り組みや現状について取材された内容がまとめられています。

1) ニューオーリンズ(米国ルイジアナ州、2005年8月ハリケーンカトリーナ上陸による洪水被害)
2) クライストチャーチニュージーランド、2011年2月大地震
3) グリーンズバーグ(米国カンザス州、2007年5月竜巻被害)
4) バンダアチェインドネシア、2004年12月スマトラ島沖大地震による大津波被害)
5) ポルトープランス(ハイチ、2010年1月大地震

 ニューオーリンズで、住民の多くが移住して戻ってこない地域では、「離散者も含めた住民の意識調査」をしたいと思っても「離ればなれになった住民の声を集めなければ学校も銀行も戻ってこない。もっと早い段階ですべきだった」というのが現状であるようです。同様のことは、日本の東日本大震災後の、津波原発事故による影響の大きい地域についても配慮されなくてはならないでしょう。(特集記事は→こちら

 特集では、各災害に対して各々の政府や自治体が果たした役割についての言及も多くあります。

 2004年末に大津波災害のあったインドネシアでは、被災4ヶ月後に大統領直轄の復興再建庁(BRR)が立ち上げられ、これが4年間にわたって機能したのだとか。(特集記事は→こちら
 また、ニュージーランドでは地震発生2ヶ月後にカンタベリー地震復興庁(CERA)が発足した他、市からの復興計画の原案が今月(震災後6ヶ月足らず)で出されたようです。(特集記事は→こちら

●参考: クライストチャーチ市による復興計画
クライストチャーチ再建プランの草案発表(2011年8月11日)
クライストチャーチ復興計画を動画で(2011年8月14日)
 -ニュージーランド生活情報・クライストチャーチ観光情報サイトより

 日本での青森・岩手・宮城・福島・茨城・千葉各県の津波被害や福島第一原発事故後の対応は、果たしてどうなっていくでしょうか。

 朝日新聞の特集での「現場から見えてきたこと-取材記者による座談会」では、終盤にこのような言葉が紹介されていました。

 「(ニュージーランドでは・・・)メディアも無駄にたたかない。とても前向きで、うらやましく感じた。」

 書いたからには、朝日新聞社自身も(もちろん他社も)よく考えてほしいものだと思います。