先週、2011年4月18日付で標記の発表論文が国際サイトカイン学会誌Cytokineに受理されました。
Umezawa M, Tanaka N & Sugamata M et al.
Clarithromycin and telithromycin increases interleukin-10 expression in the rat endometriosis model.
Cytokine. in press (2011)
これは、私が2006年から研究対象としてきた子宮内膜症モデルの病変形成を、サイトカイン発現調節作用を持つとされる抗菌剤が抑制することを示した論文です。この研究は、以前にもここで紹介した「マクロライド系抗菌剤の免疫調節作用」を想定して進めました。
ただし、ここで効果的な作用を示したテリスロマイシンは肝障害の副作用があり長期投与が困難であるため、このままで本疾患の治療への適用を目指せるわけではいきません。しかし、この研究成果が治療標的の特定すら困難な子宮内膜症の治療に、新たな知見をもたらす形で貢献できればと考えています。
今日はこの発表論文の内容を、第76回インターフェロン・サイトカイン学会・第19回マクロファージ分子細胞生物学国際シンポジウムにて発表してきました。
Summary:
The focus of our study is immunomodulatory effect of macrolide and ketolide compounds and their therapeutic effect on endometriosis. We examined the effect using an endometriosis model in rats.
The results showed that these drugs suppressed the induction of the endometriosis model and enhanced expression of interleukin-10 (IL-10) in the lesion.
We discussed the effect of these drugs on endometriosis, and the role of IL-10 in the development of the lesion.
Umezawa M, Tanaka N & Sugamata M et al. (May 25, 2011)
Clarithromycin (macrolide) and telithromycin (ketolide) suppresses endometriosis model and increases interleukin-10 expression in the lesion.
Joint Meeting of The 76th Japanese Society of Interferon & Cytokine Research and The 19th International Symposium on Molecular Cell Biology of Macrophages (JSICR-MMCB2011)
今日の発表では、マクロライド系抗菌剤の作用機序に注目をしている研究者や、同薬剤の免疫調節作用に注目している医師など多くの方からご意見やアドバイスをいただきました。これはとても励みになったと共に、この研究課題の価値や立ち位置を改めて理解することができました。
さらに、中学高校時代の同期が声を掛けてくれて、とても驚いたとともに鳥肌が立つほどの喜びを感じました。お互い元気で10年ぶりに偶然にも再会できたことがとても嬉しく、研究を頑張っていればこういうこともあるのだなぁと思わされました。
学会は、明後日27日（金）まで続きます。
