システム生物学は学問の最先端か、単なる社会ムードか

 「(現状のシステム生物学は、)これまで細胞生理学とか、細胞生物学と言われてきた分野に計算機が導入されただけ」
 「システム生物学は学問の最先端として捉えるより、複雑系という言葉のような、一種の社会ムードとして理解したほうがよい」
 (有田氏・東大院教授、複雑系としてのシステム生物学より、2006年11月18日)

 この分野に少し足を踏み入れ、昨年10月の日本生化学会では「システム生物学」のセッションで発表させてもらった私としては、このような意見に対する自分の考えをまとめておかないといけないと思いました。とはいえ、引用した記事は3年以上前のものですから、そんな前のものを今ごろ持ち上げるなと言われてしまうかもしれませんが。


 まず、現状のシステム生物学は、他の生物学研究分野に計算機が導入されただけというのは、ある程度的を得ていると思います。それが「研究の本質的な部分ではない」というのも、的を得ていると思います。計算機により得られる解に本質的なものを求め、その解こそが“答え”だと考えてしまいそうになる点に、システム生物学の危険が潜んでいるのであろうと思います。現状で得られるのは、あくまでヒントです。これは、引用記事でも指摘されているように「大規模データ」の「信頼性が低い」ことによるものであり、この点を克服できるか否かが、システム生物学が従来からの生物学研究の中で力を発揮できるか否かの分岐点になるでしょう。
 実際に私は今、小さく見ても6列×8000行の大きなExcelシートと“にらめっこ”する仕事に取り組んでいます。数字一つ一つを見ることで、「信頼性のあるデータとは何か」ということを読み取ろうとしています。(後輩を待たせているにも関わらず、もう3ヶ月近くが経とうとしているのですが・・・ ごめんなさい。) 私が実現しようとしているデータ解析手法が、意味のあるものになるかどうかも、今の頑張りにかかっているように思います。これを頑張ることができたら、その後は、・・・大阪のSさんにはとてもお世話になると思います。そのときにはまた、よろしくお願いいたします。

 ここまでで長くなってしまいましたが、現状ではシステム生物学からの解がヒントでしかない以上、これを「学問の最先端として捉えるより、複雑系という言葉のような、一種の社会ムードとして理解したほうがよい」というのも、的を得ていると思います。これをどう“最先端”にしていくかを考えることも、少しこの分野を舐めた者から見ると面白いですけどね。


 明日は、博士論文の副査審査会(予備審査)です。この内容は、私の博士論文のほんの一部でしかありませんが、このようなことを考えながら、明日の審査に臨もうと思います。


 しかしまだ、声が出ません。1月6日の夕方に起こった発熱は、食事と睡眠によって一晩で治して7日から大学に行ったのですが、7日の午後から声が出なくなってきてしまいました。
 体調不良は、先月中旬から(遠因は10月末ごろから?)続いていました。その後、先月末(つまり昨年末)に休みすぎるほど休み、現段階の体調不良もその結果の一つだと思っているので、今は静養は取っていません。Jogだけにしているものの、走れてもいます。今朝からは、だいぶ声も回復してきたので、何とか明日には通常の声に戻さねばと思っています。審査は口頭発表ですからね。

 そして、明日使うスライドは先ほどようやく作り「始め」ました。時間のかかる仕事からまず手を付けていって、期限のある仕事は、緊張感を持って直前にやる。これが最近の私の仕事のスタンスです。決して最適解だとは思いませんし、オススメもしません(笑) しかし、最大の仕事量をこなせる方法かとは思います。