もう10日ほど前になりますが、2014年の日本薬学会環境・衛生部会フォーラムは茨城・つくばでした。
『食の安全を科学する』という演題での佐藤洋先生のご講演からは、熱いメッセージもいただきました。
衛生・毒性分野から、リスク評価に資するResearch paperを。では、どうすればいいのか?
↓↓↓
①用量依存性を示し、閾値or許容量を提示できる毒性プロファイルを。②摂取or曝露量評価を可能とする「代謝モデル」の検証を。③その際に、種差への配慮、交絡因子(bias)への配慮を。④チャンスがあれば、今のリスク評価の枠組みを越えるものをScience-basedで確立すべし。
一方の国立衛研の菅野純先生は、先日の学術会議シンポジウムその他で、「今後も起こり得る取り返しのつかない有害事象を防ぐために、若い毒性学者の育成を」とおっしゃっています。その言葉と合わせ、専門知を手にしつつある自分たちがいま何をすべきか、考えさせられます。
+++
しかし、筑波大の熊谷嘉人先生がオーガナイズしてくださった学会は、面白すぎました。
開会の挨拶から熊谷先生ご自身が、スタッフTシャツを着ていらっしゃって、「おっ、若手の会か!?」などと思ったのですが、その直後、若手発表のセッションのスタートは、スポーツの大会でよく聞くあの曲。
●スポーツショー行進曲(古関裕而)
(もちろん、当日使われたのは一部分だけですが。)
このフォーラムでは、若手発表企画として学部生の研究発表だけのセッションもあります。この若手セッション、私が参加したことのある学会の中では、学生の準備が最もよくされていると思います。
発表の明快さも質疑応答も、他の(少なくとも2, 30年前から続いている)学会では見られない活発さ。学生を成長させたいという先生方の姿勢も顕著で、これが「学生を育てる」だけでなく「分野を育てていく」ということそのものだよなぁ、と思わされます。
もっとも、その明快さや活発さも、最近急速に良くなってきたという評もあるようですが。それ自体、この部会での若手セッションや、それを盛り上げる先生方の成果なのかもしれません。
“安全” の科学は、学術としても実践でも今、多くの課題を抱えています。3年後、5年後、20年後にこれがどう変わっていくか。それを、この分野に身を置く者としてよくよく、批判的に見続けていきたいと思っています。