あの友人から学んだこと

一昨年の4月から始めた、
ドラッグストアの調剤室でのアルバイト。
良い勉強の場であった上に、
給料もとても良かったのですが、
あと1ヶ月(9回)、早ければあと2週間(4回)で
辞める予定にしています。

勤務時間が、夜7時か8時半から、12時まで。
生活が朝型(というより、“生活が朝練中心”)の私には、
夜の仕事が非常に辛いためです。
この春からは、大学側から
(正確には、教授の主宰する研究機構)から
生活費の補助も少し頂けることになっているので、
ここで調剤室でのアルバイトは辞めることにした次第です。

私のシフトは水曜と日曜なのですが、
昨日は他の薬剤師の代わりで、シフトが入っていました。
閉店間際に、処方せんを持った1人のお客さんが来ました。
パッと見て、薬の量が多いと思ったら、処方に向精神薬
うつ病の患者さんでした。
急いで、かつ確認に確認を重ねて調剤し、投薬しました。
緊張の張り詰めた10分間。

+++


そして、うつ病を考えるときいつも思い浮かべる人がいます。

2年ちょっと前に亡くなった、うつ病を患っていた私の友人です。
会うのも話をするのも“たまに”の友人でしたが、
とてもツラいことだけは分かりました。

彼が亡くなった直後に、私は今のアルバイトを始めました。
以来2年間、20枚くらいうつ病の患者さんの
処方せんを受け付けました。
正直、割合としては想像以上に多かったように思います。


うつ病の患者さんに接しながら、
いつも、同じ共通点を感じていました。

彼らほど真面目に生きている人間が、他にいるだろうかと。


あの友人が、周りに対して
どういう感情を抱いていたのかを、時々想像します。
そして、彼が私に何を教えてくれたのかを考えます。
病気や薬のことをひと通り学んだはずなのに、
彼を救えなかった私。その私が、何人かの、
うつ病の薬を使う人たちの話を聞いて、いま思うこと。


今のうつ病の薬の使用により、
うつの悪化を防ぐことはできると思います。
でも、うつから快方に向かわせてくれることは、
残念ながら、ほとんど期待できないように思います。

(※ 今ある薬に意味がないわけではありません。
  うつ症状の悪化を防ぐことは、
  快方のチャンスを得る上で非常に重要です!
  ただ・・・)

うつ病から快方してくれる方法を薬に求めるためには、
間違いなく、パラダイムシフトが必要です。
もちろん、私も求めるべき答えは持ち合わせていません。
いつかは、このパラダイムシフトに挑戦してみたいと思います。
でも、今の私が手を掛けるべきものでないことは、
よく承知しているつもりです。


もしかしたら、私がうつ病の処方せんを受け付けるのは、
昨日が最後になるかもしれません。
様々な病気や悩みを持った患者さんに出会った調剤室を、
私はもうすぐ離れます。
でも、いま持っている感情は、
一生忘れずに持っていようと思います。

彼は、時々私に相談してきてくれた彼は、
本当は私に何を求めていたのだろうかと。
私が感じている、彼が私に教えてくれたようなものは、
本当はどんなものであるのだろうかと。

 

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