進捗報告では「何が未解決だったのか」を明示すべし@研究発表

 今日から10月。大学の研究室に夏休み明けの学生たちが帰ってきて1ヶ月ちょっとが経ちました。この時期は、夏前後からの互いの課題と進捗を整理し合い、年末から年度末のまとめに向けたプランを共有していく時期になります。学生たちは普段の実証実験だけでなく、進捗の整理や報告の仕方も試行錯誤しながら学んでいくわけですが、私が1年半ほど前から改めてリクエストし続けてきたことがこれ。
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(1) 現時点で得られた結論は何か
★(2) すでに(or 前回の報告までに)どこまで分かっていたか、解決していたか。何が解決していなかったのか。
(3) 次に何を、解決すべき課題(問い)として設定したか
(4) はじめに挙げた結論を導くに至った主要な実証データは何か
(5) 未解決の問題は何か
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 もちろん、「何を検証しようとした」(3) ことの結果として「どういう結論を得たのか」(1) を明確に示せることは、進捗報告で最低限できてほしい学びの第一段階です。しかしそれだけでは、そもそもなぜそれを検証しようとしたのか、それがなぜ検証に値すると考えたかを共有することができないんですよね。

 そこで、「なぜそれを検証しようとしたのか」を示すために『何が未解決だったのか』(2) を説明できる必要がある。なのでこの、どこまでが解決して/分かっていて、どこからが解決していない/分かっていないのかをできるだけ明確に分けられる力が、未解決の問題に取り組むときに重要になります。
だから私はゼミでここを強調しますし、上でもこの (2) を強調するために★をつけました。

 目の前に取り組んでいる問題だけに目を奪われると、それがなぜ、どの程度重要な問題なのかを見失って優先順位付けを見誤る原因になります。なので、進捗報告(とくに研究での?)では、とくに目の前に掲げた「目的」(3) を明確に示せることは最低限として、それ以上に★(2) に意識的であることが求められるのです。

 最近、うちの研究室ではこの辺を言わなくても少しずつ済むようになってきたので(以前よりは)、この調子で仲間たちと、まだ誰も見たことのないものを見に進んでいけたらいいなぁと思っているところです。

 2019年10月のはじめに。

  

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