人の不安に寄り添う薬学研究から、新生児の沐浴の話@日本薬学会年会(2018)

 今年も3月末は薬学会年会での研究発表へ、2018年は金沢でした。シンポジウムでは脂肪性肝疾患や、CMOSセンサーを使ったライブイメージング研究の最新情報など、興味深い情報を得ることができました。
 また今回は、私が薬学部にいたときの学生・後輩も修士修了後2年目にして発表に来ていて、自身が研究を楽しんでいる姿を嬉しく思う場面もありました。



 彼女が活発に議論をする姿以上に有難く思ったのは、薬学研究、とくに人を対象にした研究では、人の不安に寄り添うことこそが大切だと再認識させてくれたことでした。一方の、業務を取り巻く今後の環境や制度の講演の中には、「でも、それは業界を統括する人がやりやすくするための話だよね」と思ってしまう話があったのも事実です。
 そうでなく、人の健康に深く関わる薬学という学問分野では、人が実際に持つ不安やトラブルを拾い上げて研究すること。それをした上で進めないと、ユーザーに必要とされる知見、必要とされる成果も制度もできないだろうと思うのです。

 先週末の保育所修了式の話にしても、子どもがお世話になった保育所の先生方への感謝には、子どもケアについておむつや食事など、基本的なところからの不安に答えてもらったことへの御礼があったものでした。また、コミュニケーションの研究を指導してくれた難波さんも、研究は人の不安に寄り添うものでないと、と常々おっしゃっていたことも思い出しました。
 ⇒「リスクコミュニケーション・パターン集」作成の試みー不安・懸念に寄り添うために(難波美帆さん、2012年9月)

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 今回、後輩の発表していた研究テーマは、新生児の肌トラブルと沐浴に関するものでした。その研究では、とくに保護者が新生児の沐浴に対してどのような不安を持っているのかを調べ、そこに薬用入浴液がどういう役割を担い得るかを調べたという過程があったようです。

 赤ちゃんの肌トラブル対応というと、あせも対策と露出部位の保湿が挙げられます。新生児で肌が露出しているところというと、手足と顔。なので、乾燥対策の保湿は、頬やおでこが気になります。私の友人にも、赤ちゃんの頬がかなり乾燥しているけど保湿剤を使うことに不安があり、困っているというケースがありました。

 また、肌荒れやあせもが気になるのはおむつ周り、そして、よだれの垂れる口から首の周り。赤ちゃんはどんどんあごの下がプクプクしてくるので、「あごの下のおにく」の奥にあせもができてしまいます。
 これにうちの場合は、ベビー用泡タイプの石鹸で洗うことで対応できていますが、一つの方法で対応できるかどうかも人それぞれです。人の不安に寄り添う研究から、不安やトラブルに対応できる選択肢が増えてくれるといいなぁと思ったのでした。

 発表は、小番美鈴ら「薬用入浴液は新生児の肌トラブルを予防・改善する」(日本薬学会第138年会、2018年3月@金沢)。
 新生児のデータを取る上で医師としっかり連携しているようでしたが、それでも赤ちゃんの調査ではできることが限られ、大変な研究であるはずです。楽しく勤めて研究を進めているようなので、これからも楽しく研究を進めて、赤ちゃんの健康に寄与し、保護者の不安軽減のためにもなる成果を挙げてほしいと思うところです。

 私も研究成果まとめますよ!(論文執筆進めてます。)


 金沢駅の出てすぐ、地下道のホールも発表会場になるとは。


 その後輩との食事でいただいた、のど黒のしゃぶしゃぶ@金澤うさぎ(片町)。4時間半しゃべり倒してくれました。しゃべり過ぎて、しゃぶしゃぶの火は食べる前に消えていました…。

 なお、この後輩に紹介してもらったバスクリンの入浴剤を、我が家では赤ちゃん以外が楽しんでいます。6歳の人にとっては、タブレットがお湯に溶けていく様子を観察したり、お湯に濁りや色がつく現象のメカニズムを考えることも楽しいようです。

アミロイドβが凝集してくる局所微小環境の話@日本薬学会(2017.3)
加賀温泉(柴山潟)~金沢旅行(2016.7)
 家族旅行で金沢に来たときは小さい人(当時4歳)も、兼六園の噴水や21世紀美術館前の遊具、金沢城跡の大きな石垣が気に入り、長い時間をそこで楽しみました。