昨夜仕事から家に帰ってみると、4歳児が旅行先の地図を片手に、北陸新幹線の駅名をテーブルいっぱいに広げていました。旅行中、子どもは思い通りにならなくて駄々をこねることもありますが(決まっている時間に乗りたくない、など)楽しそうに振り返っているのをみると安心するのが正直な気持ちです。
その北陸新幹線の「かがやき」で金沢まで行くことにしたのは、4歳児のリクエストでした。
速達タイプのかがやき。通過する街には申し訳ないものの、停車駅が少ない列車はやっぱり快適でストレスフリーです(*1)。常磐線の快速では、上野から4駅で北千住に着くのがやっとですが、かがやきだと上野から金沢までが4駅。違う方向を見ると、上野から4駅で青森県の入口・八戸まで行けるんですから、新幹線ってすごい。(本当は「青森」と書きたかったのですが、八戸に停まらない「はやぶさ」はすべて上野を通過するようです。)
長野から、りんご畑と水田を見ながら飯山へ向かうのが上信越の道。そこから長いトンネルを抜けると新潟県の上越妙高、糸魚川から富山県。朝9時前に東京を出れば、昼前に金沢駅に到着できます。
繁忙期の金沢駅の新幹線ホームは、エスカレーターが少ないので列車が着くと並ぶ並ぶ。逆に西から在来線特急が着くと、新幹線コンコースは「富山はこっちだ」と言って早歩きする人が溢れる場面も目にしました。それは一番混む時間帯だけなのかもしれませんが。北陸新幹線は明るいニュースだったものの、金沢で東西が分断されてしまったのは小さくない代償なんだなぁと感じます。
金沢ではひがし茶屋街で、「ふ」の看板を掲げた不室屋の、
店舗の隣にあるカフェで頂いた「ふやき御汁雑煮」が美味でした。このお店自慢の「ふ」(麩)ももちろんのこと、出汁の効いた上品な味が嬉しい。
長町の武家屋敷も見応えありましたが、
夕方前には、金沢から30分ほど特急に乗って加賀温泉に行きました。
加賀・柴山潟の西側は「篠原」と呼ばれる土地。木曽義仲と戦った平氏方・斎藤実盛の最期の場所といわれる塚がありました。
ちょうど空から鳶の声が聞こえ、歴史の大河を感じる場所でした。日本でも欧州でも、領主どうしが土地を争い、戦いの最前線で人が命を落としてきた時代は短くありません。それがヒトという生物の野性なのだと考えると、複雑なような面白いような気持ちを抱きます。
欧州もトルコも米国も、やや混乱気味の2016年7月。長い人史の中で、決して長くない現代・近代史がどういう流れの中にあるのかを考えながらの朝jog。
あと、この月曜は「海の日」の休日ということで、バッチリ海も眺めてきたのは、
尼御前岬のすぐ北隣、という場所でした。
柴山潟の東向こうには、標高2702mの白山。と、
霧の上に顔を出す近くの山々。首都圏にはない景色に見入った朝。
あと、最後に北陸で出逢える九谷焼をいただいてきました。色使いが比較的鮮やかで、持ってみるとびっくり、想像する以上に薄くて軽い陶器です。家でも美味しくご飯を食べられますように。
●【北陸】兼六園~柴山潟の花火(2016年7月16日)
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(*1) この「かがやき」は、東京から富山までを2時間ちょっとで結ぶ。ほぼ各駅に停車するようになった「あさま」は、1時間40~50分でようやく東京から長野に着くのにね。東海道新幹線に「のぞみ」ができたときに静岡県民が抱いた気持ちも、「はやぶさ」がすべて通過する栃木~福島の人たちの気持ちも、そう考えるとよりよく分かるような。