英語論文を書く際の注意点(初級)第二弾。私なりに最近気になったことを列挙してみます。
●理解できる英文を作る
・前置詞の後に、名詞以外の語が置かれていないか。
・andやorなどで並列する事柄の品詞は揃っているか。
・基本的に、他の名詞にかかる形容詞的に用いた名詞は複数形にしない。
●論文の構成
・Introductionで、その研究がなぜ必要かについて、説明し切れているか。
・Resultsの項で、必要でもない方法の内容が入り込んでいないか。(必要な場合には関係詞節などを用いて、なぜその方法をそこ(=Results内)に記載する必要があるのかが分かるように書く。)
・Discussionの項に、ただ結果を述べただけの文が入り込んでいないか。基本的には、結果を述べるだけの文はDiscussion中ではNG。
※「文法よりも構成を」
●日本語からの“訳”で間違えやすい用法
・要らない接続詞が入っていないか。
・接続詞の用法を誤っていないか。
・It is ~~ thatを乱用していないか。この形を取れる形容詞は限られる。
※よろしければ第一弾→こちらも。
●引用文献
・同じ部分で、原著論文と総説とを同時に引用していないか。
●言葉の用法を統一する
(例えば、)
・maternalとprenatalはどう使い分けているのか。もしくは、どちらかに統一できるのか。
・nanoparticleとnanomaterialはどう使い分けているのか。もしくはどちらかに統一できるのか。
(私のいま取り組んでいる研究分野は、→こんな感じです。)
●論文の書き方~査読の仕方から
●卒業論文(学位論文)の書き方(2012年1月5日) ・・・今年度ももうすぐこの季節。
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英語論文を書く力は、文章を書く力ももちろんですが、それ以上に「どれだけ良い英文(とくに他の英語論文)を読み込んだか」が大きくモノを言います。
読んだ英文のストックから、表現の方法を帰納的にインプットすること。こんな場合には、こんな表現をしてる。あんな場合には、あんな表現をしてる、という法則を感覚的に理解しておくこと。
そしていざ書くときに、できるだけ早くそのストックから「良い表現」を見つけ出すこと。必要なときに、「自分の場合に使える良い表現」を演繹的に見つけられること。それが勝負を分けるのです。
私は以前に若手のイベントで、「実験を始める前に、Introductionくらいは引用文献を含めて書き切る」べしということを書きました(→こちら)。これはもちろん、先行研究の上に自らの研究の立ち位置をしっかりと示すために重要です。しかし、これには他にも、その研究分野でよく使われる「良い表現」をストックするというメリットもあるのです。
研究成果をまとめるときには、こんな文章が書きたいと思ったときに良い表現に辿り着くまでのスピードこそが、勝負の分かれ目になるのですから。