今年、2011年は、マリー・キュリーがノーベル化学賞を受けてから100周年。「世界化学年」として化学の歴史を振り返り、最先端の化学の認知度を上げ、新たな未来への展望を開いていこうという機運が高まっているようです。
現在までの化学に関する大発見はたくさんありますが、このうち日本人が大きく貢献したものを挙げてみます。日本の近代の化学は、1900年台の始めから大きな業績を上げてきたことがお分かりいただけると思います。
以下、略年表風にどうぞ。
(世界化学年にちなんで記事などを書かれた方は、よろしければご一報ください! いろいろ読みたいです。)
・1885年、長井長義氏(日本薬学会初代会頭)
-生薬マオウからエフェドリンの単離抽出に成功
・1900年、高峰譲吉氏
-アドレナリンの結晶抽出に成功
・1907年、池田菊苗氏
-昆布から“うまみ成分”グルタミン酸を発見(1908年に特許成立)
参考:うま味の発見と池田菊苗教授(東京大HP内)
・1910年、鈴木梅太郎氏
-ビタミンの発見(米ぬか中にあるオリザニン=現在のビタミンB1を発見)
参考:鈴木梅太郎『ヴィタミン研究の回顧』(青空文庫)
・1952年、福井謙一氏
-化学反応過程に関する「フロンティア軌道理論」を発表(1981年ノーベル化学賞受賞)
・1962年、下村脩氏
-オワンクラゲから緑色蛍光タンパク質の発見および単離精製に成功(2008年ノーベル化学賞)
・・・生化学若い研究者の会でも解説本を執筆しました。『光るクラゲがノーベル賞をとった理由』(日本評論社、2009)
・1972年、本多健一氏・藤嶋昭氏
-酸化チタンを用いて水を光により分解できること(“本多‐藤嶋効果”・・・光と水から水素と酸素と電流が得られる)を発見
参考:光触媒反応の発見と応用~光エネルギーで快適な未来をつくる~(藤嶋昭氏インタビュー、nanonet)
・1977年、白川英樹氏
-導電性プラスチック(ポリアセチレン)を発見(2000年ノーベル化学賞受賞)
参考:プラスチックになぜ電気が通ったか(e-science)
・1977年、根岸英一氏ら
-有機亜鉛を用いたクロスカップリング反応法の開発(2010年ノーベル化学賞受賞)
・1979年、鈴木章氏ら
-有機ホウ素化合物を用いたクロスカップリング反応法の開発(2010年ノーベル化学賞受賞)
参考:炭素をつなぐ最良の方法・鈴木カップリング(有機化学美術館)
・1985年、田中耕一氏
-質量分析(高分子の同定や構造解析に用いる)に応用可能な脱離イオン化法を開発(2002年ノーベル化学賞受賞)
・1986年、野依良治氏
-キラル触媒によるカルボニル化合物の不斉還元法を開発(2001年ノーベル化学賞受賞)
参考:ノーベル化学賞・野依良治教授の業績(有機化学美術館)
他にも特筆すべき事項がありましたら、ご教示いただければ幸いです。
・日本の化学 巨星の系譜(朝日新聞、アスパラクラブ)
※ 世界天文年(2009年)