「現実から目を背けて必要な改革を
先延ばしすると、支払わなければならない
犠牲がずっと大きくなる」
これが、ギリシャの財政危機から
日本が得るべき教訓だといいます。
朝日新聞の特集誌GLOBEの、
2010年6月28日号『覚悟の社会保障』では、
このような言葉が書かれていました。
日本の財政赤字の増大や社会保障などの課題が
論じられるようになって久しいですが、
世論はまだ揺れており、これを説得できる
政治家は現れていなければ、
説得できる策も見出されていません。
果たして、私たちは何を知っておくべきなのでしょうか。
以下には、特集の記事のうちのほんの一部を紹介します。
是非、GLOBEウェブサイト中の
第42号『覚悟の社会保障』をご覧ください。
そして、日々の新聞の社説などにも
目を通して頂ければと思います。
(※ 社説も人が書いたものであり、
背景となる情報が必ずしも公平では
ないことに注意が必要ではありますが。)
●高福祉スウェーデン、もう一つの姿
~厳しい競争と淘汰~
「日本でも高福祉社会を目指すべきだ」
と言い、スウェーデンなどを引き合いに
出す人もいるといいます。
もしそれを目指すとなれば、なぜスウェーデンで
それが可能なのかを考える必要があります。
記事では、このように書かれています。
「スウェーデンは、高福祉の幸せな国という
面ばかりではない。高負担であるのは
もちろんのこと、厳しい競争社会でもある。」
「雇用を守るための賃下げ」は
「日本では当たり前だが、スウェーデンの
労組にとっては原則からの逸脱だ。」
「弱い企業を保護して、国の経済が沈んでは、
社会保障が維持できない―
合理的な思想が、そこにはある。」
●公平さ徹底するスウェーデン
~全国民の課税所得は公開情報~
スウェーデンでは、
「払うべきを払わない」ことへの
監視とペナルティーがとても厳しいそうです。
そしてそれは、「政府への信頼」があってこそ
できることであるとも記されています。
また、日本では消費税についての論議が
よくマスコミに取り上げられますが、
この記事ではスウェーデンの社会保障について
次のように述べられています。
「25%の付加価値税(消費税)に目が向きがちだが、
医療や福祉を担う地方自治体の財政は、
ほとんどの勤労者が払う税率30%前後の
地方所得税が支えている。」
そして、同国の現在の政権は、
2006年に政権を取った後に、
「勤労所得だけを対象とした減税を行う一方、
失業関連手当の給付要件を厳しくする」ことで
「直接的に(国民に)就労を迫っている」
という政策も採っているそうです。
他、紹介した特集号では他の欧米諸国や
日本の社会保障の歴史と事情に言及し、
各国の現状と課題が解説されています。
日本を含めた各国が、何を目指すべきであるか、
どういう形を取れる可能性があるかのヒントを
そこから得なくてはいけないのだと思いました。
+ + +
私はこの特集号を、今日の午後に、
サイゼリヤでドリンクバーを頂きながら読みました。
すべての市民が、この問題を真剣に考えている
わけではないかもしれません。
真剣に考えたところで、一人の力で
どうすることもできないのも現実です。
それは、私も同じことです。
では、果たしてそれを説得できる人は?
説得すべき人は?
日本の政治家に、その覚悟はあるでしょうか。
私たちは、その政治家の真の能力を見極め、
支持することができるでしょうか。
今のままでも問題が山積している上に、
いまの制度のままであれば社会保障費が
さらに必要になるのは確実なのです。
2025年には団塊世代が75歳以上になるのです。
この現状と課題に対して、日本国が具体的に
効果のある行動を始めるときが
できるだけ早く来ることを切に望みます。
2010年のギリシャを評して、
「危機が生じたあとの数ヵ月で決まった
税制・年金・行政などの改革は、
過去10年のどんな改革よりも急進的だった」
という言葉もありました。
あのレベルの危機が生じる前に動くことができるのか、
それとも、果たして―――。