noの後にくる名詞は単数形か複数形か

"Science knows no borders"

最近、このような文を見て「あれっ?」と思いました。
生化若手の企画の仕事をしていて、見た文です。

意味は、「科学に境界なんてない」
という感じだろうとは思ったのですが、
noの後の名詞は単数形になるというように
覚えていたので、違和感がありました。

そこで、正確なニュアンスを捉えるために、
このnoの用法について調べてみました。

以下は、研究社の『新英和中辞典』から
一部を抜粋したものです。


no(形容詞)

1) [単数普通名詞の前に用いて]
 ひとつも・・・ない


There's no book on the table.
そのテーブルの上に本はない。

No man is without his faults.
欠点のない人はいない。

No student was able to solve this problem.
どの学生もこの問題を解くことができなかった。

2) [複数名詞又は不可算名詞の前に用いて]
 どんな/少しの・・・もない


There're no clouds in the sky.
空には一片の雲もない。

I have no money with me.
私はお金を持ち合わせていない。

There's no water on the moon.
月には水がまったくない。


<成句>

・by no means 決して~でない/~しない

It is by no means easy to satisfy everyone.
皆を満足させることは決して容易ではない。
(←皆を満足させるのに簡単な方法はまったくない。)

※ by all means 「どうぞ」「ぜひ」
Tell me about it, by all means.
 遠慮なく、ぜひそのことを話してください。

・in no time = in less than no time 直ちに、すぐに
(←少しの時間もかけないうちに)


以上、noの使い方、皆さんはご存知でしたでしょうか。
是非使いこなして、英語でもニュアンスこそを
相手に伝えられるようになりたいと思います。


他にも、本を読んでいたりウェブ検索をしたり
していたら、次の言葉も見つけましたので紹介します。

"No borders, no limits"
「少しの境界も限界もない」

The tragedy of life doesn't lie in not reaching your goal. The tragedy lies in having no goals to reach.
人生の悲劇は、目標が達成できなかったことにあるのではない。達成すべき目標を持たないことにあるのだ。――『人生が変わる 英語の名言』(晴山陽一著、青春文庫)より


以上のように、“どんな~もない”という意味で
これ(~)がないことを強調したいときに、
no ~sが使われているようですね。

というわけで、冒頭に紹介した言葉の意味も
訳を付け直しておこうと思います。


"Science knows no borders"
「科学にはどんな境界もない」