”ミュージアムパーク”茨城県自然博物館はいつも面白い

 2024年11月からの7ヶ月間、“ミュージアムパーク” 茨城県自然博物館の30年間の歴史を振り返る展示があり、私たちも終了間際の5月末に再訪してきました。ここが1994年に開館してから30年ということで、これまでの展示の企画の歴史を振り返る企画展。内容は面白く、この30年で本当にいろいろな企画があったことがよく分かる展示でした。


 特に私がここに多く通うようになったのは長男が生まれてからなので、最近の10年間ちょっとということで、博物館の歴史30年間のうちの後半の方。ですが、その後半だけを見ても大人気のカブトムシやクワガタだったり、色鮮やかな蝶の標本などを並べた昆虫展だったりとか、もちろん虫だけでなく宝石の原石などを並べた鉱物展だったりとか、苔などの地衣類だったり、地質とか火山もかなり面白く展示したことがあったり、あとはゴキブリなんかの “嫌われ者” を並べたなんていうユニークな企画展もあったりしました。


 面白いのはもちろん企画展だけでなく、この博物館の目玉は何と言っても動く恐竜の展示で、少し遠くから来る人たちですとそれを見たいということで、何日も前からワクワクして計画して1日かけて回るという人も多いようです。他にも、ダイオウイカの標本だったりとか、あとは茨城の自然博物館ということで筑波山の立体地質図だったりとか、その山の植物の分布を示した植生図だとか、すごく大きなアメシスト紫水晶)の標本があったりとか、そんなところも素晴らしいところです。
 博物館といいながら屋外スペースも広く、化石発掘体験や生き物探しに、水遊びまでできる施設はまさに「パーク」。うちは自宅がわりと近く、車でのんびり行っても30分くらいで行ける所なので、年パスを買って混雑がゆるくなる夕方だけ何度も行くなど、庭のように楽しませてもらってきたところでもあります。

 あと私がすごく面白いと思ったのは、2021年にあったブナの企画展。その葉っぱの地域差を表した展示が印象に残っています。このブナの企画展は2021年の初めに終わっていますが、終わった後もその時のものが常設展として残っていていつでも見られる大きな展示があります。これの何が面白いかというと、まずブナというのは、よく茂った森林でも大きくなれる陰樹で、沖縄県と実は千葉県以外の全45都道府県に分布しています(ただし、北海道は道南だけ)。
 なぜ沖縄と千葉にないかというと、まず南にある沖縄はちょっと暑すぎるため。千葉の方にはなぜないかというと、ブナは関東以南の暖かい所だとそこそこ標高の高いところ(標高800メートル~)にしか分布していないためです。北の方だと標高が低くてもブナが生育するのですが、関東以南だと標高の高いところにしかないのですが、千葉県は高い山が無いことで有名な県なんですね。千葉県には標高500メートル前後の山しかないということで、この千葉県と、あと沖縄県には分布していない木ということになります。

 そんな全国に分布しているブナですが、その葉っぱの特徴が地域によって違うというんですね。葉っぱの特徴とは何かというと、一つのパターンは「分厚くて、小さめ(小ぶり)」。もう一つのパターンは「薄くて広い(大きい)」。北の方と南の方、どちらのブナかによって、この葉っぱの特徴が違うのですが、このブナの「厚くて小さい」「薄くて広い」葉のどちらが南に、どちらが北に分布するか、わかるでしょうか。


 はい、答えは南の方に行くほど葉っぱが「分厚くてやや小ぶり」なんですね。なぜかというと、南の方は(北半球では)「緯度が低い」ので、太陽が割と高い角度で強く当たるからですね。その光のエネルギーを十分に葉っぱで吸収するためには、厚さが必要だということです。薄すぎると一部の光が透けてしまって、十分に光をのエネルギーを 吸収できないということで、南の方のブナほど分厚い葉っぱを持っているということであるわけです。


 この違い、すごくないですか?
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 一方で、北の方に行くと「緯度が高い」ということで、太陽の光の入る角度が低くなります、と。そうなると太陽光のエネルギーが弱いので、北の方のブナは葉っぱを分厚くしても、その葉の裏側の方には十分に光が届かないんですね。葉は光を吸収して光合成をするわけですけど、光のエネルギーが届かないほど分厚くしてもそれは無駄になってしまうということで、北の方に行くほど葉っぱは薄くなるというわけです。と同時に、その薄い葉っぱでも、十分に太陽の光を逃さず活用できるように、ちょっと大きめの葉っぱを持っている。そんな特徴が、全国を分布しているブナのうち南のものと北のものにはあるということで、これが個人的には一番面白いなぁと思っている展示です。


 30周年の企画展には、開館時の館長・中川志郎さんのメッセージの展示もありました。時代が変わっても人と一緒に常にある自然に触れ、理解してほしい。それを、谷津田(谷地の水田)と雑木林の広がる菅生沼の隣に作った想いはグッと胸に刺さります。その隣に展示された大きな牙をもつ骨格は、サーベルタイガー。これは日本にマンモスがいた時代にアメリカ大陸に多くいた哺乳類で、ロサンゼルスの博物館との姉妹館提携の縁でここにある標本です。

 この「30年のありったけ」という企画展は今月初めに終わりましたが、入れ替えの期間を置いてまた7月からは、恐竜時代の企画展をやるということです。で、もちろんこの博物館は動く恐竜が目玉である中で、次の企画展は「恐竜時代に生きていた、恐竜以外の生物」にスポットを当てたものを予定しているのだそう。その企画展は7月から夏休み期間もまたいで行われるというわけでうちの人たちも楽しみにしていますし少し遠くにいらっしゃる人でも、ご興味ご関心があれば是非この「茨城」のミュージアムパークで楽しんでいただきたいと思うところです。

ミュージアムパーク30年のありったけーいつも茨城県自然博物館はおもしろい!ー | ミュージアムパーク 茨城県自然博物館