バルセロナからの帰りは、ブリュッセル乗継で大雨の成田に着きました。帰る日のバルセロナはようやく晴れてくれて、遅い日の出後の短い時間に走ったり最後の昼を楽しんだりしてきました。
地中海! (Mar Mediterráneo)
トーレ・アグバル (Torre Agbal) の特徴的な形が向こうに見える、ディアゴナル大通り (Av. Diagonal)。碁盤目状に道が並ぶ中を斜めに貫くつくりが私の好みです。
サグラダファミリア (Sagrada Família)。もし曇っていたら、ここの微妙な色使いは見えなかっただろうと思います。
晴れた朝だけでなく、日の出前の暗い町や小雨の降る町も走ったり歩いたりしていました。その中で、広場や大通りの広い歩道を中心に、デモの人たちが地面に書いたと思われる文字が目に留まりました。
これは「l'Libertat」。カタルーニャ語で「自由」の意味。
他には Democracia、Freedom、Revolucio、Absolucio とか。町の多くの場所でイエローリボンも見られました。イエローリボンはここスペインでは、「カタルーニャ州で独立運動を行ったとして投獄されている政治家への支持と、スペイン政府への抗議」を表すのだそうです(→Wikipedia)。それから「1312」。
これを見て、1312年にカタルーニャかスペインに重要な出来事があったのかな、何だろうなと思って見ていました。が、スペインの歴史を少し見てもまったく1312年という数字が出て来ない。何かと思ってニュースを検索してみたら、いくつかの言葉が掛かってきました。
↑「Barcelona 1312」でGoogleニュース検索。
英語のニュースがまったく掛かってこない中で、検索ではスペイン語で書かれた、デモのニュースについてのこんな節が見つかります。
・彼らはいろいろな所に "ACAB" や "1312" と書いている。
・これは「すべての警察はろくでなし」を意味する言葉の単語の頭文字 (A.C.A.B.) を並べたもので、1312は「ABC」を「123」に置き換えて書かれたもの。
しかし謎なのは、Googleでのニュース検索結果にあるそのページに飛んでも、「1312」をはじめとする気になった用語が飛んだ先には見つからないことです。情報が制限されているのかと少し怖くなりつつ、もう少しだけ調べたらこのページに行き着きました。
●A.C.A.B.とは何ぞや(カタルーニャ語)
権力者に主張を示し、声を届ける権利が市民一人一人になければならないのは当然のことだと思います。一方で、不満を溜めた人たちのはけ口や主張の形が、こういう方法でしかあり得ない場面が現実に少なからずある現場を見ると、切なくなるのも正直な気持ちです。
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これはモンジュイックの丘の麓にある、考古学博物館の展示の一つ。1936~39年のスペイン内戦 (Spanish Civil War) を映像(もちろん、かなり悲惨なものを含みます)も交えて振り返る大きなスペースの中心にあったもので、この博物館の職員もつい先頃のデモに参加したことを示す文言がありました。
カタルーニャの人たちの権利を制限した、スペイン大元帥のフランコ (Franco) らからカタルーニャの芸術品や歴史的遺産を守るために、当時それらをフランスなどに運んで保存したそうです。今はまた、カタルーニャの歴史を尊重し独立性を保つことの象徴として、この像に黒い布を被せているのだそうです。
私がバルセロナの空港を出発する直前にTwitterにアクセスしたときの「スペインのトレンド」に、今日もまた "Franco" がありました。今週も金曜夕方から、大丈夫なものでしょうか。
これからもバルセロナの町を、多くの人たちが楽しめるようでありますように。
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ランプラス大通り (Las Ramplas) の真ん中にある、ミロのモザイクをイメージした絵。
旧市街。
旧市街の真ん中にある大聖堂に、
晴れた昼間のカタルーニャ広場。曇りがちで雷雨まで来た数日間でしたが、帰る間際に明るい景色を見られたのは嬉しいことでした。
●チューリヒ経由でバルセロナに到着(2019年10月20日)
●五輪ランナー (1992) が登ったモンジュイックの丘
●バルセロナの美しい町と2019.10デモの跡