力量あるプロポーザルを書く訓練を-その意義とは

 一昨日(2011年5月17日)、教授が一つの論説記事をくださいました。

若い研究者に期待したいこと
 -力量あるプロポーザルを書く訓練を-

 (山本尚・シカゴ大教授、
  日本化学会『化学と工業』64(5): 387-8、2011)

・リスクを冒すことに憶病になってしまっていないか?(⇔リスクを取らないことのリスクを忘れてしまってはいないか?)
・通説に対抗し得る独創性を持てるか?
・米国における研究計画の立案では、通説を少し変えるだけの平凡な企画は受け入れてもらえない。力強い提案には、科学の将来を自分自身の力で変えてゆく気概と、自分を売り込む自負心が必要である。

・グラントの申請書を書き続けることで、進行中の研究の基本的な問題点や改良点を普段から考え続ける習慣が身についてくる。
・良い企画書・申請書を書くためには、他人の研究提案に対して鋭いコメントをできる力も要求される。それに応えていくと、科学を俯瞰的に見る習慣が身につく。
・一分野に特化する誘惑を振り切り、隣接分野も広く勉強して(異分野との融合分野にためらいなく入っていって)こそ、自身も良い研究をすることができる。
・思い切った研究計画を書くことによって、隣接分野の勉強も知らず知らずにうちに身につけることができる。

・何よりも、自らの企画案への厳しいコメントに夜も眠れないくらい腹を立てた悔し涙が、その後の研究者としての自立と成長への大きな糧になっていく。


 私は今日、米国のグラントへの申請書類の提出を一つ終えました。それを目前にして教授からもらったこの記事は、教授から私自身のメッセージとして有難く頂戴しました。「グラントは通らないのが当たり前」のつもりですが、ひとまず提出することができて良かったと思います。
 今日まで、書かなくてはいけない書類が非常に多くありましたが、何とか乗り切ることができました。少しは報われると良いなと思いますが、今週は大きく報われた話もすでに2つあるので、その話はまた別に。

 皆さんもおつかれさまです。