今見るべきNHKの映像の世紀「ロシアとウクライナ」

 昨日(2月22日)朝起きたら、米トランプ氏がウクライナを「ロシアは全土占領可能」とインタビューで発言したというニュースが目に入ってさすがに驚きました。

 米国が対ロで軍事支援をするウクライナに、鉱山権益の供与を現在求めているなど問題は複雑です。しかし、元はといえば1994年に米英ロがウクライナを非核化(ブダペスト覚書:物理的に保有されていた備蓄はロシアに移転)したことが、2022年2月のロシアによる軍事作戦開始を可能にしたと言って過言ではありません(ただしウクライナは保有する力をそもそも持っていなかったという指摘もあります)。こんな状況を昨年私は「まったく、もう昭和じゃないのに」と書いたものの、日本国外では昭和にも令和にも、何の区切りもないのも事実なわけで。

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 このタイミングで、NHKプラス「映像の世紀 バタフライエフェクト」で『プーチンとゼレンスキー ロシアとウクライナの100年』が配信されています。配信期間が1週間(明日=2025年2月24日まで)という、NHKらしいどうしようもない設定なのですが、関心がないわけではない人は明日までに観ておけるといいと思います。

 今月は、米国のトランプがゼレンスキーなしでプーチンと会談したというニュースもあった中で、この番組はとても見応えのあるものでした。2019年にウクライナのゼレンスキーさんが大統領になったときに、「もうウクライナ国民が泣かずに済むように力を尽くします」という演説をしていますが、その後も難しい国家運営の舵取りをすることになり今の状況があります。

 この映像の世紀では、ウクライナがロシアとどういう関係にあったのかということを、ソ連の時代のレーニンスターリンフルシチョフそれからゴルバチョフの時代の経緯もコンパクトにまとめられていました。そしてその歴史の流れの中で、今のこの状況があるということを考えさせられる番組だったと思います。ウクライナの人たちは、ロシアの人たちと同じスラブ民族の国家と言われ、言語もキリル文字という共通の文字を使いながらも、ロシア語とウクライナ語という異なる言語を持つ人たち。一方で、ロシア革命以前のロシア帝国の時代もウクライナは小ロシアと呼ばれ、一つの国家としてはなかなか認められなかった地域だったという、そんな歴史的な経緯も解説されていました。

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 そんな番組を通して、強く考えさせられたことが二つありました。

 一つ目は、「少しの判断の蓄積」が大きな事態、この場合では例えば戦争にまで繋がってしまうことがあるんだということ。歴史のように、事態を見るとなんでこうなっちゃったのかとか、どうにかならなかったものかなどとどうしても想いを巡らせてしまいますが、今回の番組で解説されていた「ロシアとウクライナ」の話はほんの100年間の間にあったことであるわけです。
 その中で、比較的両者の関係がいい時もあった一方で、それも長くは続かなかった。ボタンをかけ違うと状況は悪くなってしまい、今のようなことになってしまうこともあると。それを考えると、海に囲まれた日本人の私たちも決してこういうことに無関心でいてはならず、国家の運営をしている人たちがどこを向いて何を考え、どういうことをしているのかということは、もちろん全部は分からなくても理解しようとしなくちゃいけないんだなと思わされたところです。

 二つ目は、国の経済規模や人口が決して大きくない国ではは、一度状況が悪くなったときになかなか周りの支援も得られず、事態を好転も打開できないことがどうしても続いてしまうことがある、ということ。一方の日本も、経済の成長を妨げてしまっているものは何なのかということを理解して、どういった技術を理解して活用すべきかとか、人口がすでに減り始めてしまった日本で何を大切にして何を判断・決定しなくてはいけないのかということは、今一度考えさせられるそんな番組でもあると思います。

 先に挙げた番組ををNHKプラスで見られるのは2月24日の月曜日までですが、ぜひ皆さんにも見ていただきたいと思いました。