大気環境研究の現状と課題はどこに ~大気環境学会1日目~

 第50回大気環境学会に参加・発表のため、横浜に来ています。大気中の様々な物質を分析する人や、その健康影響を調べる人、いろいろな人が集まります。前者の「分析する人」が多く参加することが、私が多く参加する医学・薬学系の学会とは異なるところです。

f:id:umerunner:20191008182115j:plain

 残念だったのは、
・私が口頭発表を行った、大気汚染による健康影響を論じる“生体”のセッションは閑古鳥が鳴いていたこと。
・学会50周年と題して、通常の懇親会がなかったこと。

 嬉しかったのは、
・私のもう一つの発表(ポスター)では、多くの先生からいろいろなことを教えてもらえたこと。
・ポスターを英語で作っていたので、日本の大学に来ている海外からの留学生と多くの話ができたこと。

 恥ずかしかったのは、
・「脆弱」を“きじゃく”と読んでしまっていたこと。正しくは『ぜいじゃく』です!!


 “健康影響” を論じるセッションのオーディエンスが少なかったのは、本当に残念でした。昨年はもうちょっと盛況だったのですが、それは、昨年の大会長が金沢大学の早川先生(環境汚染物質の生体影響について、以前から精力的に研究されている方)だったからかもしれません。

 逆に、大気中の浮遊粒子の“組成を分析する”研究を報告するセッションが盛況でした。この辺りの話題が、この学会のメインテーマでもあります。北海道環境科学研究センター・大塚英幸氏の、「(粒子状の大気汚染物質の)低減対策策定に向け、発生源情報が重要である」という言葉が印象に残りました。大気中にあるものがどこから出たものかを把握していないと、あるものを減らそうとしても減らすことができないという、言われてみれば当たり前のことです。しかし、容易なことではなさそうです。

 また、今回の年会は「50周年記念」と題して、通常の懇親会がない代わりに、会費10,000円の祝賀会が予定されています。学会側からは、若手の研究者に頑張ってほしいという声を聞きます。しかし、そんなものは若手は参加できず交流できません。50周年ともなれば、それも仕方ないのでしょうけどね。

 さらに、この学会は中国との連携を強める方針のようですが、少々不安を覚えます。これまでも、この学会は韓国との連携を密にしており、将来的にはアジアで各国学界間の活発な交流を目指しているようです。その考えに間違いはないと思います。 
 しかし、中国の研究者は、学会発表にエントリーしていても実際に来ていない例が非常に多く見られます。これは、彼らの学会参加の目的が科学を論じるためではなく、業績を稼ぐためでしかないことを示唆していると思います。文化の違い(?)と言ったらそれまでかもしれませんが、その辺りの考え(風土?)の違いをどう理解してどう連携していくのか、その辺がよく見えてきません。
 (とはいっても、私が学会を仕切っているというわけではもちろんなく、私には分からない事情も多くあるとは思います。)

 いろいろ考えさせられる学会参加になりそうです。

+++

 学会会場は、慶應義塾大学の日吉キャンパス。初めて来たのですが、学生食堂が決して安くないのも残念でした・・・。それでも何とか、2日目・3日目には楽しみを見つけてから帰りたいと思います。

f:id:umerunner:20191008182252j:plain
 ポスター発表は、会場が狭すぎたりしてやりにくい部分もありましたが、こちらは多くの方からご意見などを頂けて、とても勉強になりました.