いま求められるリーダーシップの本質

 経済や国勢の見通しが明るくない今、これを打開するためにどのようなリーダーシップが求められているのか。そして、なぜそのリーダーシップが求められているのか。今日は、それを示していて面白いと思う記事を紹介します。

日本に足りないモノは? 給与一律カットの弊害
 (ちきりん×中田宏対談、政治家を殺したのは誰か(最終回)-Business Media誠、2012年1月31日)

 これは、以前に紹介(→こちら)した「なんで全員にリーダーシップを求めるの?」という記事の著者のちきりんさんと、前横浜市長中田宏さんとの対談記事です。
 この記事の中に、“今の日本のリーダーに必要なことは何か”を端的に示す節が出てきます。

 「現実問題として日本に足りないのは、リーダーシップを持った人間。意見はたくさんあるし、知恵をもった人もたくさんいる。問題は、決断できる人が少ないこと。」
 「目的を達成するために、リーダーは仮説を立てなければいけない。その仮説に向けての分析が、果たして正鵠を得ているのか。それとも修正すべきなのか。仮説を持つことと、議論をひきとって結論を出すということが、リーダーに必要なこと。しかしそうしたリーダーが不足している。」


 そして、決断し行動する人が今の日本に少ない原因を、次のように表現しています。

 「「コレを作っても売れないかもしれない」「失敗すると会社が潰れるかも」という時代に決断するのは誰だって怖い。だから今の時代、そういう覚悟をもって大きな判断をする人がものすごく少ない。自分がトップの間だけ、平穏無事にすごそうとして、怖いことは先送りする人ばかり。」ページ2より)

 この記事が示している現実は、日本の経済や政治の中枢を担う(べき)人たちが「今こそ決断すべき」であるにも関わらず、今それを決断することはできていないというものです。またさらに、決断できる人材が力を発揮できていないことも指摘されています。
 この現実を抱えるのは、経済や政治の中枢ばかりではないことでしょう。

 記事の中では、「決断できない」ことの結果行われれるものの一つとして、「給与一律カット」が挙げられています。その上で訴えていることは、“一律カット”ではなく重要なものを判断し、それを選択できる力の大切さです。
 重要でないものを「捨てる決断」をできるかどうか。成果の有無を先見性をもって評価し、成果の上がらないものを「捨てる決断」をできるかどうか。「捨てる基準」としての「仮説」や「ビジョン」を示せるかどうか。それをできる者がリーダーとなること、それが必要とされています。

 大切なことだと思います。

※関連エントリ:仕事の仕方、言葉の力